2015年3月15日日曜日

フォトセンサとの戦い

ピーコを使うにあたってハードウェア変更なしという拘束条件があるのはわかっていたが,まあ初心者が使ってあれだけ走れるのだからなんとかなるだろうと思っていた.

甘かった.

フォトセンサについてこちらの検討の結果を見ていたので大変なのだろうとは思っていたが,予想を超えていた.

まず,LEDから出る光は壁の上ぎりぎりにあたる.一部は壁にあたらないため,加速中と減速中,言い換えるとマウス先端と後端のどちらが接地するかによって返ってくる光の強度が変わる.後ろ重心で普段は後端が接地しており,この状態では半分くらい壁からはみ出てるので製作ミスしたのかもしれない.

次に,既報の通り壁が近くにあると距離の変化に対するセンサ値の変化がほとんどなくなる.LED発光時間を延ばせば値は大きくなるので飽和ではなく幾何学的な効果であると思われる.おそらくLEDとフォトトラの間に分厚い基板があるためだろう.ある程度壁が近くに来るとセンサ値から壁の距離を測ることができないことになる.一方,これはセンサ値が過剰に大きくなり制御が強くかかりすぎるのを防ぐ効果があると考えられるので初心者に対してはうまく働くのかもしれない.特に距離に対する線形化をせずにセンサ値をそのまま使ってフィードバック制御する場合には,なるほどうまい方法だと言える.しかし,上級者にとってはただの欠陥である.

また,どうやらなかなか優秀なフォトトラを使用しているようで意外と反応が速く,LED発光時間は10us程度で十分なようだ.しかし,ハイパスフィルタの時定数は100usと長すぎる.これでは1msに1回しかサンプリングできない.悪くはないが,コンデンサ容量を変えるだけでサンプリングレートを上げられるのに.残念.

やむを得ず不満が多く含まれる進捗報告になり販売元には痛いかもしれないが,初心者と上級者の観点の違いが見えるだろうから初心者がステップアップする上で何を考えればよいかのヒントになるのではないか.

4 件のコメント:

福井 さんのコメント...

キットはできすぎていると改善点がなくてつまらないです.
改善の余地を残すべきとは思うので,
上級者がつい,ネガティブなコメントを残すのは,良いキットである証拠と言えます.

だが,フォトセンサーの位置,お前はだめだ.
指摘したんだけどナァ...直っておらんのです.
社長は若手技術者をもっとしばくべき(前回全日本大会で社長に申し上げたことば)

Kojima さんのコメント...

やはりこのセンサ位置はおかしいですよね.壁の高さが50mmなのに,センサLEDの取り付け高さも50mmというのは一体どういう思想なのか.素人的には真ん中の25mmにすればよいのにというところ.

せめて設計思想がわかれば理解できるかもしれませんが.

福井 さんのコメント...

残念ながらキチっとした設計思想を持つことができれば,
それは既に全日本大会入賞できるレベルだと思うので,
そんなものはないか,小島さんが図ろうとしているレベルではないと思います.
さりとて,入賞者に入門キット作らせているようでは
入賞者が競技者的な意味で死ぬ=業界が死ぬので,
難しいところです.

さらに,よしんば入賞者レベルがキットを設計しようとしたとしても,
キットの完成系を意識し,
キットとして何を課題としてわざと残すか考え,
これに加えて商業的に成立させる制約が加わるので,
それはそれで大変に難しい課題にアールティーさんは取り組まれていて,
かつ,そこそこ成立しているので偉大なキットであることは間違いがありません.

だがセンサーの位置は明らかに商業の範囲内で解決できるし,
(スペーサーを短いものに変更し,モーターの取り付け角度を90度回転させるようドキュメントを変更)
課題として残す意味もないので,だめだ.
絶許

Kojima さんのコメント...

ピーコが入賞経験もある優秀なキットであることは間違いありません.
しかし,バージョンチェンジの機会があったのにもかかわらず大きな問題が解決されていないのはまずいですね.問題を抱えているにもかかわらずちゃっかり基板の色を変更しているあたりは残念です.

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