今年度は主に3点うまくできるかわからない新しいことを試し、なんとかかたちにすることができてその効果も発揮できた。それらが認められてニューテクノロジー賞をいただいた。
1つ目は昇圧回路を搭載してパワーを引き出したこと。昇圧ICにはLT8337-1を使った。 昨年も昇圧は試したが、パワーを引き出せず、あまり効果はなかった。 今年は1次側に流れる大電流を考慮してパターンを太くしたりバッテリから近くしたりと改善した。 バッテリコネクタも大きくてじゃまではあるがEHコネクタを使って接触抵抗による損失を減らした。 ICについてはON抵抗が小さいことも重要だが、スイッチング損失も無視できない。 このあたりはまだ最適ではない気がする。回路はデータシートに従った。 また、かなり発熱するので放熱は重要かもしれない。 ただピーク電流が流れるのは短時間なのでたいして問題にならないかもしれない。 連続で流すと150℃とかまで上がるが、走行時に熱起因で昇圧が止まることがあるのかはよくわからない。
2つ目は慣性モーメントを減らす部品配置をしたこと。 最近はターンが速いこともあり相当なトルクがないと旋回できない。 モータを中心付近に配置するのに、内歯車を使いたかったので製作してみた。 内歯車のインボリュート曲線ってどうなってんの?と思いながら加工プログラムを作り直すのはやや大変だったが、問題なく作ることはできる。 ただ、噛み合い状態が見えないのでギヤ間の距離あわせが非常に難しかった。
3つ目はトルクをかせぐために減速比を大きくしたこと。 タイヤ径約13mmに対して、減速比6.8を実現した。 昨年までモジュール0.2の歯車を使っていたが、より小さいモジュールを採用しないと成立しないため、 モジュール0.144で設計した。(中途半端なのはおおよその設計が終わってから大きさを変えずにモジュール変更するため。) 0.2mm径のエンドミルで0.144モジュールの歯車を加工した。標準的な歯車の歯たけはモジュールの2.25倍だが、そうすると歯元が折れそうに細くなるので1.9倍にとどめた。 完全な歯車ではないが普通に走っているので大丈夫らしい。 ギヤ間距離の調整はおそろしく大変だった。きつい。 あと、暴走するとピニオンの歯が消える。これはソフトウェアも変更し、暴走しないようちょっと外れたらすぐ停止するようにした。
いろんな部品を何度も加工したこともあり、今年(今年度ではなく今年...)はエンドミルをかなり折った。0.1mm1本、0.2mm2本、0.5mm1本。 小モジュール歯車ははじめ0.1mmのエンドミルで加工を試みたが、普通に折れた(CNCはオリジナルマインドのKitMill BT100)。 切削パラメータを見直せば加工できる可能性はあるが、加工に時間がかかりすぎるのと、次折れたらを考えたときに財布へのダメージも大きいが、なによりも心も折れそうなのでやめた。 0.1mmは加工パラメータが不十分なので仕方ないが、ほかは人の不注意で折ったもので正しく加工プログラムが動いている限りは折れない。
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